2025年11月04日



 

 超音波支援加工とは何ですか?

 

超音波支援加工の作動原理



超音波支援加工(Ultrasonic-assisted Machining)は、非従来型の除去加工プロセスであり、高周波振動のエネルギーを利用してワーク(被削材)から材料を除去します。超音波振動の範囲は通常20kHz(1秒間に20,000回の振動)を超え、人間の耳では聞こえないため、「静音加工」とも呼ばれます。

一般的に、超音波エネルギーはトランスデューサ(変換器)を介して切削工具に伝達され、工具に高周波微振動を与えて、フライス加工・ドリル加工・研削加工を支援します。この超音波支援加工は主に先進材料(Advanced Materials)の加工に用いられ、特に硬脆性材料難削材に対して大きな効果を発揮します。

代表的な対象材料は、技術セラミックス(Al₂O₃/酸化アルミニウムZrO₂/酸化ジルコニウムSiC/炭化ケイ素石英ガラス光学ガラス超硬合金(タングステンカーバイド)ステンレス鋼焼入れ鋼耐熱合金(Ti-6Al-4V/チタン合金Inconel 718/ニッケル合金などです。



回転型超音波加工による材料除去の原理、出典: Precise Drilling of Holes in Alumina Ceramic (Al2O3) by Rotary Ultrasonic Drilling and its Parameter Optimization using MOGA-II
(図1. 回転型超音波加工による材料除去の原理、出典: Precise Drilling of Holes in Alumina Ceramic (Al2O3) by Rotary Ultrasonic Drilling and its Parameter Optimization using MOGA-II)


高周波微振動は連続的な「ハンマリング作用」として働き、ワーク内部に微小亀裂(micro-cracks)を発生させて材料除去を促進します。工具がワーク表面を連続的に打撃し、応力が蓄積されることで微細な亀裂が形成され、これにより材料が容易に除去されます。

そのため、超音波支援加工は以下のような微細加工に多く用いられます。


HIT 超音波支援加工モジュール — 先進材料加工の最適化ソリューション
(図2. HIT 超音波支援加工モジュール — 先進材料加工の最適化ソリューション)




 

HIT 超音波支援加工モジュールの独自技術

 

HIT 超音波支援加工モジュール:製品情報

 

[1セットの HIT 超音波支援加工モジュール]


HIT 超音波支援加工モジュール 製品シリーズ一覧
(図3. HIT 超音波支援加工モジュール 製品シリーズ一覧)


1セットの HIT 超音波支援加工モジュールには以下が含まれます:
a) 超音波発振器
b) 超音波ツールホルダ(HBT、HSK、CAT シリーズ)
c) 超音波パワートランスミッタ
d) 外部コントロールパネル



a) 超音波発振器超音波出力を生成し、工具の共振周波数を自動検出します。被削材に応じて、ユーザーは出力パワーレベル(%)を調整して振幅を制御できます。



HIT 超音波支援加工モジュール – 超音波発振器
(図4. HIT 超音波支援加工モジュール – 超音波発振器)


b) 超音波ツールホルダHITは HBT、HSK、CATシリーズなどの一般的な規格を提供しており、CNCマシニングセンタのほとんどの主軸タイプに対応します。


HIT 超音波支援加工モジュール – 超音波ツールホルダ
(図5. HIT 超音波支援加工モジュール – 超音波ツールホルダ)


c) 超音波パワートランスミッタツールホルダのすぐ横に設置され、超音波エネルギーを非接触で伝達します。ツールホルダとの間には 0.5mm の空気ギャップがあり、これが「非接触(ワイヤレス)超音波電力伝送技術」です。


HIT 超音波支援加工モジュール – 超音波パワートランスミッタ
(図6. HIT 超音波支援加工モジュール – 超音波パワートランスミッタ)


HIT 超音波支援加工モジュールによる実際の加工プロセス
(図7. HIT 超音波支援加工モジュールによる実際の加工プロセス)


d) 外部コントロールパネル振器と同じインターフェースを持ち、マシンの制御ボックス内に設置された発振器を外部から制御可能です。


HIT 超音波支援加工モジュール – 外部コントロールパネル
(図8. HIT 超音波支援加工モジュール – 外部コントロールパネル)



 

[機械統合の概略図]



HIT 超音波支援加工モジュールの機械統合・設置構成図
(図9. HIT 超音波支援加工モジュールの機械統合・設置構成図)


パワートランスミッタとツールホルダの設置位置詳細図
(図10. パワートランスミッタとツールホルダの設置位置詳細図)



 

HIT 超音波技術の独自設計

 

[非接触式超音波電力伝送]


メーカーによって超音波エネルギーの伝達方式は異なります。HIT のツールホルダは、独自の「非接触(ワイヤレス)超音波電力伝送」技術を採用し、内部に圧電素子を内蔵しています。これにより、20~32kHz の高周波微振動を工具に発生させます。


HIT 独自開発の非接触/ワイヤレス超音波電力伝送技術
(図11. HIT 独自開発の非接触/ワイヤレス超音波電力伝送技術)


トランスミッタとツールホルダの間には0.5mm のエアギャップがあり、これにより従来製品のようなカーボンブラシや導電スリップリングの定期交換が不要です。この設計は、コスト削減主軸回転数の制限回避に大きく貢献します。



 

[自動周波数検出と柔軟な振幅調整]


超音波発振器は、出力を制御するだけでなく自動スキャンと周波数ロック機能により工具の適正周波数を検出します工具の形状やシャンク材質に応じて共振周波数は異なるため、加工中も常に適正な周波数を追従し、安定した入出力を維持します。


HIT 超音波発振器による工具共振周波数検出表示
(図12. HIT 超音波発振器による工具共振周波数検出表示)


ユーザーは、発振器上のPower Level ノブ(0~100%)を調整することで、軸方向(Z軸)の振動強度を制御できます。硬化鋼や耐熱合金など、強い衝撃力を必要とする材料では、通常 80~100% の出力設定が推奨されます。


Power Level ノブによる超音波振幅調整
(図13. Power Level ノブによる超音波振幅調整)



 

[モジュールシステムの簡易設置]


この技術は、独立したモジュール構成として設計されており、既存のCNC機械に容易に統合可能です。従来機のアップグレード版として導入でき、省スペース低消費電力低コストを実現します。




 

HIT 超音波支援加工モジュールの利点



以下は、HIT超音波支援加工によって得られる主な3つの利点です。
⚠️ 加工目的により、特定の項目がより顕著になる場合があります。


 

【1】加工効率の向上


高周波微振動がワークに連続的に衝撃を与え、微細な亀裂を発生させることで材料除去を容易にします。これにより材料除去率(MRR)が向上し、同時間でより多くの材料を除去可能。結果として加工時間を短縮し、効率を大幅に改善します。

 

【2】工具寿命の延長


従来加工では、高硬度材や難削材を加工する際に切削力・切削熱が増大し、工具摩耗を加速させます。超音波支援加工では、Z軸方向の微振動により工具が周期的にワークから離れ、間欠接触が生まれます。

これにより、切削液の流入改善切屑と熱の排出促進が可能となり、切削抵抗を低減します。結果として、安定した加工と長寿命化を両立します。



HIT 超音波加工では切屑サイズが小さく排出性が向上
(図14. HIT 超音波加工では切屑サイズが小さく排出性が向上)


HIT 超音波加工ではセラミック粒子の排出性が向上し、工具摩耗を大幅低減
(図15. HIT 超音波加工ではセラミック粒子の排出性が向上し、工具摩耗を大幅低減)

 

【3】ワーク品質の向上


先進材料の加工では、ワーク品質(微小孔品質・表面粗さ)が重要な要素です

特に脆性材料の微細穴加工では、超音波によりエッジクラック(端部亀裂)の大幅低減が可能です。



ガラス材料のマイクロドリル加工における出口側エッジクラック低減
(図16. ガラス材料のマイクロドリル加工における出口側エッジクラック低減)


さらに、表面粗さの低減工具痕の抑制にも優れ、摩擦を軽減してより良い仕上がりを実現します。


HIT 超音波加工により表面粗さが低下し、工具痕が軽減
(図17. HIT 超音波加工により表面粗さが低下し、工具痕が軽減)


高品質・安定した工具寿命を維持しながら、加工パラメータの最適化によってさらなる効率化が可能です。HIT 超音波支援加工モジュールは「魔法」ではなく、先進材料加工を最適化する革新的ソリューションです。




 

先進材料の超音波加工成功事例

 

Al2O3セラミックの微細穴あけ加工


🔸 加工効率 - 10倍高い 🕑
🔸 工具寿命 -
5倍向上し 💰


 

SiC(シリコンカーバイド)のヘリカル加工(円弧補間)


🔸 ワーク品質 - 72%向上し ✨
🔸 セラミック粒子の洗浄が向上 💰


 

石英ガラスの側面研削加工


🔸 加工効率 - 2倍高い 🕑
🔸 材料除去率 -
2倍向上し 🕑
🔸 ワークピースの品質 -
1.6倍向上し ✨

 

Inconel 718 ニッケル合金のキーウェイ側面ミーリング


🔸 加工効率 - 2倍向上し 🕑
🔸 表面品質 -
2倍向上し ✨
🔸 工具寿命 -
3倍向上し 💰

 

タングステンカーバイドの(スロット)トロコイド加工


🔸 表面品質 - 2倍向上し ✨
🔸 工具寿命 -
2倍以上向上し 💰

 

SCM440合金鋼の完全スロット切削


🔸 表面品質 - 2.5倍向上し 
🔸 工具寿命 -
300%長寿命化します (切削に失敗から1本の工具あたり3つの完全なスロットを切削するまで) 💰



🔎 詳しくはこちら:先進材料の超音波加工成功事例

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